インタビュー

坂野尚子さん

ICU卒。コロンビア大学MBA.。フジテレビアナウンサー、NY特派員、KPMGピートマーウィックでシニアコンサルタント、ディレクターを経て93年に株式会社キャリア戦略研究所を設立。キャリア支援や人材紹介に従事し、現在は「ネイルクイック」「ネクストボディ」「クイックシェイプ」などを全国展開する株式会社ノンストレス代表取締役。現在、2年後をめどに株式公開の準備中。一児の母。

※上記プロフィールは取材当時のものです。

Interview vol.11 坂野尚子さん

フジテレビアナウンサー

夢だけはあるんだけど、何もアクションを取っていない人・・・それだとただの「夢追い人」で終わってしまう。

今回のゲストは、フジテレビを退職後、アメリカでMBAを取得し、株式会社キャリア戦略研究所を創業、96年からはネイルサロンやフィットネスクラブなど健康・美容サービスを展開する株式会社ノンストレス代表取締役としてご活躍の、坂野尚子さんです。アナウンサーから経営者へと転身されたきっかけ、そして「起業」に向くタイプとは・・・

Q1.アナウンサーから起業へ至った経緯を教えて下さい。

憧れる人も多い「フジテレビアナウンサー」。辞めることに迷いはありませんでしたか?

アナウンサーを7年やった後、特派員としてNYに渡りました。当時フジテレビでは、アナウンサーを一生続けるものではないという価値観を持っている人が多かったし、私もNYの滞在中に今後のことを決めて帰ろうと思って出発したんです。アナウンサーって「使われる」立場でしょ。ディレクターからの指示に疑問を持つこともあったし、自分はディレクションにも向いてるんじゃないかと思っていたので、NYにいるときはよかったですね。カメラマンと2人で取材に行って、企画、取材、編集までやる。でもそれも2年やって気が済んだ。それより、50とか60になっても自分の好きなことができる「ビジネスの世界」に行ってみたいと思って、MBAを取ろうと決断しました。それが29歳の時。

当時、フジテレビはNo.1の視聴率を誇っていたし、本当に楽しい雰囲気の会社だったので、日本にいたら決断できなかったでしょうね。NYで決断したので、それほど迷うことなく辞表を出しました。ただやめてからが苦しかったですね。肩書きはないし、大学院に行くためにTOEFLのスコアを5点とか10点上げていく、ちまちました世界。そんな浪人生活を8ヶ月間送りました。NYの友人、知人は「夢があって会社をやめるの?がんばって!」とみんな応援してくれたけど、日本では「なんでやめたの?もったいない!」と全員に言われました(笑)。ほんと落ち込みますよね。

Q2.退社後の生活について教えてください。

学生時代を経て、企業に至った経緯を教えてください。

運良く、第一志望のコロンビア大学に88年1月に入れることになって、1年4ヶ月間留学しました。MBAを取って、日本に帰ったらすぐに会社をつくりたい!と思ってたんですが、やっぱりこわいですよね。失敗するかもしれないし、特に何をやりたい、というのもなくて。アメリカで知り合って結婚した夫と相談して、「まずはいろんなビジネスを見てみよう」と、外資系の経営コンサルティングの会社に就職しました。

お給料をもらえるというのは楽だな・・・というのもあったけど、ちょうど子供もできて、時間を自分で管理したかったし、この会社に入ったのは起業するためだったはず!と思い立って、93年に最初の会社「キャリア戦略研究所」、2年後に「株式会社ザ・クイック」(現 株式会社ノンストレス)を立ち上げました。当時、まだ女性起業家はそんなに多くなくて、取材を受けることも多かったのですが、アナウンサーだったことをあえて言わないようにしていましたね。軽く見られるような気がしていましたし、あまりプラスに働くことはないな、と。でもアナウンサーの経験自体は、自分のプレゼンテーション能力や、説得力、交渉力の面で助けてくれていると、今は感じています。

Q3.転職しようかと迷っている人たちへ、メッセージをお願いします。

アナウンサーは楽しい仕事だから、そこから離れられない人も多いでしょうね。「私も田丸美寿々や安藤優子みたいになりたい!」という夢を引きずりながら、現状とのギャップに悩んでる人もいるんじゃないかな。でも、『美貌』と『能力』に自信があるんだったら、とにかくやってみればいいと思いますよ。やってみてだめだったら、それが「現実」ですから。やってみないと現実は見えないんです。 夢とのギャップに悩んでいるだけで、行動に移さない人は、そこで終わり。夢の実現のためには、@やりたいことがわかっている、Aそのためにどうすればいいかわかっている、最後にBそれをやろうという『行動力』が必要。とにかく夢だけはあるんだけど何もアクションを取っていない人、それだとただの「夢追い人」で終わってしまいますよ。

Q4.起業に向いている人とは?

「何があってもへこたれない人」。何でもプラスに考えられる、ポジティブシンキングの持ち主。暗い人は無理(笑)。ちょっとしたことでめげてしまう人はだめでしょうね。

(2006/05/17 青山にて)

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