インタビュー

有馬 隼人さん

関西学院大学商学部卒業後、静岡エフエム放送(株)に入社。朝帯の生ワイドのパーソナリティを中心に、夜帯のリクエスト番組のディレクションなど5年間制作現場を担当。その後、インターネットラジオコンテンツのプロデュースなど局のインターネット・モバイルサイトのWeb Masterとして一切の企画運営に携わる。2002年、(株)ディーツーコミュニケーションズに入社。メディアセクションで放送局・新聞社サイトをはじめとするモバイル広告の媒体開拓・商品企画の他、配信システムの開発、業界標準規格の策定など、様々なプロジェクトを手掛ける。

※上記プロフィールは取材当時のものです。

Interview vol.17 有馬 隼人さん

TBSアナウンサー

有馬隼人「直接、人目につかないことでも、自分で自分の成長を感じていればいいと思う」小田恵子「自分を表現するなら、自分を知らないといけないし、その前に他人を知らないといけない」

今回は、元局アナnetリニューアルを記念し、元TBSアナウンサーで、現在はアメリカンフットボールの現役選手として活躍中の有馬隼人さんと「元局アナnet」編集長の小田恵子によるSpecial対談。 同じ大学の先輩・後輩の関係でもある2人。アナウンサーという職業を経て、現在はそれぞれアナウンサーとは別の分野で活躍しているという共通体験を持った二人が、熱く語りました。

小田 : アナウンサーの仕事は、振り返っていかがでした?

有馬 : アナウンサーって、スポーツに似ていると思うんです。例えば、選手が試合に備えて体調を整えて、準備して「さぁスタート!」っていうのと同じで、生放送もそこに向けて準備していく。そういう所が、スポーツ感覚と似ていて、楽しかったです。

小田 : それでも、3年でアナウンサーをやめましたよね。気持ちの変化のターニングポイントって何でしょう?

有馬 : 学生時代は、僕自身の身体能力や、体の大きさとかを考えると社会人リーグで渉りあっていく能力はないと自分で判断していたので、外側から大好きなスポーツを盛り上げられる仕事に就こうと思っていたんです。でも、アナウンサーとして色々なスポーツの現場に行って、環境が良くない中でも、自分の好きなスポーツを最後までやりきっている人たちを目の当たりにして。自分はまだまだスポーツのこと理解できてないんじゃないかって気持ちが大きくなってきました。最後までやりきって、このスポーツが好きです!って言い切れるんじゃないかなって。 当時、年齢が26歳だったので、今から体を作り直して勝負をするとか、残り何年できるかとかを考えたら、このタイミングしかないと思い始めて・・・1ヶ月半後にはやめていました。

小田 : すごい決断力ですね。やめたことを後悔したことはなかったですか?

有馬 : アメフトを楽しむって環境を自分で作ったから、昔より上手くなろう!速くなろう!ってことしか考えないですね。後悔はないです。収入が減った不安はありましたけど・・・

小田 : 周りの人は心配したでしょう?他人の目はあまり、気になさらないようですが、それは「有馬隼人」として1本筋が通っているからでしょうね?

有馬 : アナウンサーも、アメフトもそうですけど、人目につく場合と、つかない場合があって。例えば、アナウンサーの場合は、色々な番組を任されてこの人はエースだなって思われるのがステータスだったり、喜びだったり、それは人目につくんですけど、直接人目につかないことでも、自分で自分の成長を感じていればいいと思うんです。他人が感じる成長には必ず誤解があるので。 一つ一つ感じたもの、学び取ったものをきっちりと吸収して成長していると感じる。それが、僕の筋ですね。

小田 : じゃあ、有馬さんの場合は、まわりからどんなことを言われているかよりも、自分で自分の成長の度合いを感じるのが価値基準だってことですか?

有馬 : 人の評価を気にするのも大切かもしれませんが、まわりの声も取り入れつつ、自分の中で「自分は今どこにいるのか?少しずつでも前へ進んでいるのか?」って、常に感じることですね。

小田 : でも、アナウンサーってどうしても「人が上がったら、自分が落ちる」って考え方になってしまいがちですよね。有馬さんのように、人の目は気にしないで、自分の価値判断でトライ&エラーで生きていけたらいいなって思うんですが、なかなかそうはなれない人が多いように感じます。

有馬 : それは、トライする力がないのではなくて、トライする場所を見つけることができないんじゃないのかな?探しにいく力がないのではなくて、方向を知らない。自分を知らないってことじゃないかな。

小田 : 確かに。自分を表現するなら、自分を知らないといけないし、その前に他人を知らないといけないですよね。

有馬 : アナウンサーって職種を特別に考えないことですよね。人目に付くという点だけは特殊ですが、偉くもなければ、優れてもいないと思うし。アナウンサーだろうが、銀行員だろうが、工場の技術者だろうが全部一緒。たまたま人前に出ていたというだけじゃないかな? 「私はアナウンサーだったのに・・・」なんて思っていると、全てが進みださないと思います。

小田 : その辺りの割り切りができると、人生の幅が一気に広がっていくでしょうね。これからも、幅広くダイナミックな活躍、期待しています。ありがとうございました!

(2008/08 東京・八重洲にて)

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