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局アナnetインタビュー

小田恵子さん

1965年奈良県生まれ。大阪市立大学文学部を在学中からNHK大阪放送局のリポーターなどを経験し、88年にABC朝日放送入社。テレビ営業局に配属。92年に退社。94年から97年までNHK松山放送局契約スタッフとして「おはよう四国」などを担当。97年に東京へ転居し、「NHK週刊ハイビジョンニュース」を担当。98年、「NHKラジオ夕刊」を担当中に一念発起して司法試験の勉強を始め、3年間の勉強ののち2001年に司法試験合格。現在は虎ノ門南法律事務所に勤務。趣味は旅行、読書。

※上記プロフィールは取材当時のものです。

Interview vol.08 松田美和さん

NHKアナウンサー

法律のニュースを理解したくて、弁護士に。好奇心が背中を押して、勉強が続けられました。

Q1.アナウンサーから弁護士へ・・・転職へ至った経緯を教えて下さい。

アナウンサーをしながら法律の勉強をしようと思ったのは、司法関係、特に裁判のニュースについて、もっと深く理解してみたい、と思ったのがきっかけです。もともと、アナウンサーとして何か専門知識を身につけたいという思いがあり、法律のことがわかると、ニュースについてコメントするときに、自分の軸足がしっかりするんじゃないかと考えたんです。また、司法試験合格者の4分の1が法学部以外の出身者だと新聞で読んで、文学部の私でも大丈夫かな・・・と。そういうことが重なって、勉強を始めました。最初は世の中の仕組みがわかったりしておもしろかったんですが、そこを過ぎると難しく細かい話になってきて、つらくなってきましたね。でもそこまで行くと、お金も時間も投資しているから、やめて無駄にしたくなかった。それに法律の知識があると、まわりで悩んでいる人たちの助けにもなるかな、という思いもあって、勉強を続けるエネルギーになったような気がします。

勉強を始めたときはNHKの「ラジオ夕刊」という番組を担当していて、夕方6時50分まで生放送。同じ渋谷にある司法試験予備校の授業が6時45分からだったので、遅刻しながら通っていました。勉強の時間をつくるのは本当に大変でした。司法試験の勉強は暗記することが多いのですが、そういった暗記の勉強は駅のホームで電車を待っている時間などに少しずつやりました。また、仕事柄ニュースのチェックは欠かせませんでしたが1時間のニュース番組は見ないで、30分番組1つだけにしたり、新聞も見出しだけパッパッと見たりして、時間を節約しました。そのほか、電車に乗っている時も、食事の時も、寝る前も、いつでも講義を録音したカセットを聴いていましたし、机に向かうときは、「今日は何時間勉強する!」と決めて、ストップウォッチを使って計っていました。トイレに行くときは止めて(笑)。それくらい厳しくやっている時期もありましたね。とにかく最初の1年は勉強の癖をつけるのが大変でした。でも1年くらい我慢して勉強していると、だんだん理解できるようになって、そうするともっと知りたいという好奇心がわいてきました。憲法や法律のことがわかると、司法のニュースだけでなく、政治や経済のニュースも、すごくよく理解できるようになりました。「ああ、こういうことだったのか」と目からうろこが落ちる思いでした。逆に言えば、それまで、いかに内容を理解せずにニュースを伝えていたのかということなんですが・・・。とにかく、ニュースがよく理解できるので、そのころは仕事もすごく楽しかったですね。

Q2.転職後の生活について教えてください。

弁護士になって2年目ですが、最初の1年だけでも、特許、商標、著作権などの知的財産権、M&A、破産管財事件、契約などの企業法務全般、相続などの家事事件、そして刑事事件などさまざまな分野の経験を積むことができました。 今後もいろいろな仕事を経験して、いずれは自分の専門分野を見つけていきたいと思います。最近は、企業がコンプライアンスを意識するようになるなど、世の中全体が法律を重視する時代になってきたので、弁護士として適切なアドバイスができるように、自分のスキルを磨いていきたいと思っています。

また、メディアの報道だけでは、裁判がどうしてそのような結果になるのか理解しがたいこともありますよね。なかには法律上やむをえないこともあるのですが、このようなときに、「法律はこういう思想の上に立っている」ということを広く伝えていく必要もあると思うので、機会があればそういった役割も担っていきたいと思っています。ニュースでも取り上げられていますが、2009年までには裁判員制度が始まるので、これからは一般の人たちに法律の説明をする場面がますます増えてくるでしょう。そういったときに、伝え手としてのアナウンサーの経験を役に立てたいと思っています。

Q3.元局アナnetについて・・・

アナウンサーの潜在的能力は高いと思いますし、それを掘り起こそうという取り組みは、とても価値あることだと思います。交流会もとても楽しく、有意義なお話が聞けたので、また参加させていただきたいです。

(2005/01/29 六本木ヒルズにて)

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